塗替え時期の目安

塗替え時期を考える前にまず、塗装の目的をおさらいしましょう。大きく分けて二つあります。

ひとつは美観的な目的です。きれいな外壁や屋根、町並みに合った色合い等視覚的な意味を持つ目的です。

もうひとつは家を守るという主に防水を意味する保護的な目的です。

前者は色が褪せたり、外壁が汚れてきたり、日当たりが悪い面でコケやカビが繁殖して見苦しくなったりと、いろいろな症状が現れます。もちろん、新築当時の色合いに戻したいと塗装を考えられる方も多いのも事実です。

後者は住宅の寿命そのものを左右する場合もありますから、より深刻な内容となります。たとえば外壁のひび割れは直接内部への水の浸入につながります。木造建築では内部の木材の腐食につながります。今はやりのサイディングボードの場合はシーリング（コーキング）の劣化や割れによりやはり内部への漏水が懸念されます。

建ててから何年で塗替えた方がいいですか？とよく聞かれます。答えは分かりません。何故なら今の状態がその答えだからです。

新築時の品質によっても当然変わります。5年で色褪せがひどく、ひび割れもあちこちに…なんて家もありますし、10年経っても目立った痛みが無い家もあります。要は今あなたの家の状態はどうですかというのが判断の基準です。今、どんな症状が出てますか？

塗装の表面は水をはじいて素材そのものに水分が接触しないように機能しています。色褪せが始まるとそれまではじいていた表面が濡れたように水に染みた状態になります。

たとえば屋根の瓦、特にコロニアルといわれる薄いセメントの瓦は水を吸うと乾燥するを繰り返すと素材が暴れます。暴れるとはお餅が焼けるように反るという意味です。結局水は住宅の大敵だということです。塗装はその水から外壁材や屋根材を守っているのです。

チョークと言えば昔は黒板に黒板消しとチョークなど、学校の教室には必ずあるものでした。そのチョークは触ると手に白い粉が着きましたよね。壁を指で触ってみて指に粉が着く状態がチョーキング現象といいます。

科学的に言いますと、塗装の表面が外的要因によって（主に紫外線）分解して粉を吹いた状態です。当然水をはじくことは無く、防水性が全く無いといえます。塗装の状態としては塗装の末期的症状ですから、早急な塗替えが必要です。

これは、誰しも本能的にやばいと感じますよね。

もし、お客様の外壁がモルタル壁ならばそのひび割れの奥にラス網という金網が張ってあり、それにモルタルが落ちないように食い込ませています。ひび割れはその金網まで水を吸い込んでしまい、金網そのものを腐食させます。腐食した金網は膨張しますので、どうしてもひび割れの部分は少し盛り上がっていますよね。腐食が進むと壁が落ちるという最終的な結果に近づいていきます。早く直さないと取り返しがつかなくなります。

もし、お客様の外壁がサイディングボーデで、ジョイント部分や釘の周りが割れているならば、そのボードのすぐ裏側にある胴縁（ボードを止めている木製のさん木）が腐ります。木が腐れば二度と元には戻りません。とたんに家の寿命が縮みますよね。塗装の予算が無いのならひびの補修だけでもするべきです。